ドラマ『SR サイタマノラッパー~マイクの細道~』はなぜ今期最高ドラマなのか

 先日、最終回を迎えたドラマ『SR サイタマノラッパー~マイクの細道~』。一部では大評判のこのドラマがなぜ素晴らしいのか。今回はそれを書いていきたいと思います。
 『SR サイタマノラッパー』は09年に公開された映画。深谷市で定職につかずヒップホップでの成功を目指す若者達を描いたもので、主人公に至ってはニート状態。虚勢を張るかのようなヒップホップの姿とイケてない日常のギャップは北埼玉の田舎の風景にマッチ。
 その後、群馬の女子ラッパーが出る『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』が翌10年に、さらに続編の『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』が12年に公開されました。

 最初の映画から8年、最後の映画から5年。突然、サイタマノラッパーはドラマとして復活します。
 今まで全く芽が出ず、犯罪者まで出てしまっていた主人公達のヒップホップグループ将軍に突然大きなライブのチャンスが! 元メンバーがいる大間に再結成の説得に向かい、そこから遠野、猪苗代と東北を旅していくのが今回のドラマ版です。

 このドラマがなんでこんなにも心を動かすのか。
 それはサイタマノラッパーが持っていた時間にあると思います。もちろん懐かしさを活かした演出が良かったというのもあります。でもそれ以上に、時間というものがこの作品をつくっていると思うのです。1作めから10年近い月日が流れて、その時にいけてないニートだったのが、まだギリギリヒップホップを目指してるいっくん。間違いなくもう30代。
 でも、そういう人ってけっこういっぱいいるんじゃないか。00年代にイケてない若者が、まだそのイケてないまま10年代に中年になろうとしてる。でも、心の片隅にひっかかるものもあって、まだ何かあるんじゃないかと思ってる。そんな姿が多くの元若者の共感を呼んだのではないかと思うんです。
 そういう心の叫びがヒップホップで語られる。映画では終盤でいっくん達が思いの丈をつたなくながらヒップホップで語るのが定番なのですが、それがそれまでのダメダメ感との対比もあってグッと来るのです。ドラマも最後には念願の地でライブして、さらに最後に深谷でヒップホップで語り合って、胸が熱くなりました。 

 今年最高のドラマかもしれないサイタマノラッパー。そこには時間というものがうまく作用していました。

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