『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の正義を巡る考察(完全ネタバレ)

 今回は激しく完全にネタバレですよ。映画をまだ見てなくて見る予定の人は絶対見ないでね。

 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を最後まで見て思ったことは、キャプテン・アメリカは間違っていて、それがよかったということでした。
 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は原作のシビルウォーよろしくキャプテン・アメリカとアイアンマンがその正義の違いからヒーローを二分して争う映画でした。アベンジャーズを国連の管理下に置くべきというアイアンマンと、あくまで自分達の判断で動くべきというキャプテン・アメリカ。そこにキャプテンの親友バッキー(ウィンターソルジャー)の拘束の是非が絡まって、二人の対立は決定的なものになっていきます。誰かがバッキーに爆破テロの罪をなすりつけていることに気づいたキャプテン・アメリカは、他の超人兵士達の蘇生という黒幕の陰謀を阻止する為にアイアンマン達と戦うことになります。
 もしこのままの流れでストーリーが進んでいけば、仲間と争うことにもなったけどやっぱりキャプテン・アメリカは正しかったんだとなるでしょう。アイアンマンとの対立も黒幕を倒す為のやむを得ない行為となります。しかし、ラストでもう一波乱待ってました。なんと黒幕の目的は超人兵士の蘇生などではなく、アベンジャーズの分裂だったのです。これによって、結果からすればキャプテン・アメリカの行動は全く正しくなかったことになります(ストーリーは復讐などの個人的感情が複雑に影響しますが、ここでは割愛します)。

 前作ウィンターソルジャーではキャプテン・アメリカは徹底的な監視や先制攻撃による秩序を目指すS.H.I.E.L.Dと対立します。これは結局はS.H.I.E.L.Dが悪の組織ヒドラに乗っ取られていたからということになり、キャプテンは正しかったとなりますが、この監視と先制攻撃による秩序は9.11以後のアメリカを連想させます。
 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は個人の正義を重んじるから国連の下につかないというキャプテン・アメリカより、圧倒的な力を持つ自分達を国連の管理下に置くというアイアンマンの意見の方がはるかに現実的です。前作のような実は陰謀があってというのは完全なミスリードで、今作ではキャプテンはやっぱり正しかったんだとはなりません。
 僕はこれがすごくよかったと思います。キャプテン・アメリカの正義というのは正しいからという結果論ではないんですね。むしろ自分が信じた正義に沿って行動するという過程の方に重きが置かれていてるのです。自分の信じた正義に殉ずることが正義であり、結果として正しいかどうかではないわけです。
 劇中では原作のキャプテンの台詞をそのまま使ったカーターの葬儀の言葉や、ラストの大ケガを負ったウォーマシーンの台詞によって語られています。

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 ネット上で見られたキャプテン・アメリカに対する批判に答える形でキャプテン・アメリカの思想を補足してみたいと思います。
 まず、あるのがキャプテン・アメリカの国連管轄に反対する考えがよく分からんという批判。これは要するにキャプテン・アメリカの正義感というのはアメリカ建国の時の正義感なわけです。個人個人が自由に自分の信じる正義を貫くべきという正義感。もちろん、これは理想論的だし、とても危険です。おそらく100%この考えなアメリカ人はいないでしょう。しかし、アメリカ人のどこかにはこの正義があるように思えます。アメリカで銃所持になかなか規制がかからないのは、この正義は個人によって行われるべきという思想が多少は関係しているからではないでしょうか。キャプテン・アメリカは古き良きアメリカの理想の体現者なのです。その古き良きアメリカがが現在のアメリカ(や世界)と対峙するというのが映画キャプテン・アメリカ・シリーズの大きなテーマです。
 もう一つよく見られた批判が、キャプテン・アメリカが迷わなすぎるというもの。むしろ迷ってるアイアンマンの方が主人公みたいだと書いてる人もいました。この批判への答えは上記の文章によって既に書かれていますが、キャプテン・アメリカは古き良きアメリカの理想そのものだからです。国連の管理下に入るべきか、自分達の力をどうするべきかということに対して、悲しみや戸惑いを抱くことはあっても、個人の正義を自由に貫くという答えは既に決まっているのです。

 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は結果としてキャプテン・アメリカの行動が間違っていたからこそ、彼の個人の信じる正義を貫くべきであるという信念が一層際立つことになります。それがすっごい良かった。

 あの結末はアベンジャーズ3が控えていいることを考えるとベストな落としどころだったかなぁと思います。アイアンマンはよほどのことがない限りキャプテン・アメリカを呼ぶことはないでしょう。しかし、もう誰もが知ってるように、すぐによほどのことが起きることになります。

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