今だから読みたい東日本大震災についての本3冊

『気仙沼に消えた姉を追って』

生島ヒロシの弟でスポーツライターの生島淳が行方不明の姉をきっかけに気仙沼で被災した人々をクローズアップしたノンフィクション。

廻船問屋の夫婦、大島で米軍相手の通訳となった英語教師、転校するか悩むバレー部の高校生、そして生涯気仙沼を離れなかった生島淳の姉。この4組を震災までの人生の歩みの前編と震災が起きてからの後編に分けて書いてある。
特に好きなのは震災とは直接関係ない前編だ。その人となりが伝わるだけでなく、たった4人のそこに住む人間の人生を記しただけなのに、驚くほど気仙沼という地域が伝わってくる。だからこそ、震災を経て彼らのそして気仙沼の姿に思いをはせ、深い感動を覚える。
震災を点としてとらえてはいけない。そこに住む人々の人生、地域の歴史という線の中で震災を考えなければいけないと強く思った。


 

『詩の礫』

福島で被災した詩人がツィッターの連続投稿で綴る「詩の礫」が書籍化。

ツィッターで織りなす詩という新しい表現の力。本当のツィッターのまま短い言葉がツィートした時刻と共に刻まれていて、ふっと短く綴られた言葉の重さが際立つ。
全体的には何だかよくわからない詩も多く感じたが、逆に強く印象に残る言葉も多かった。「放射能がふっています。静かな夜です」などズシリと来るフレーズがいくつもあった。

映像などの直接的なものとは全く違う重みで”故郷を失う”ということの意味を感じさせてくれる。


 

『福島第一原発観光地化計画』

現在すでに始まっている原発周辺のガイドの紹介に始まり、2020年の復興博の提案、2032年の一大施設ふくしまゲートヴィレッジ構想へと続いていく。思ってたよりずっと具体的なプランが描かれていて、読んでてワクワクする。
現在のガイドや未来のプランの中に、原発の問題を風化しない、福島だけの問題にしない、といった重要なメッセージが見えてくる。今、福島でも日本全体でも放射能や原発の問題をなかったことにするような感じになってることを考えると、これはとても大切なことだ。
福島内外の様々な人が出てきてバラエティに富んだ内容になっていて、どこから読んでも面白い。豊富な写真も嬉しい。

読みながら、福島の10年、20年先のビジョンが前向きに語られることが今まであっただろうかと考えてしまった。だからこの本を読んで、涙が出るほど嬉しかった。
あとがきまで読んで思った。福島第一原発観光地化計画は具体的に練られた夢なんだと。今、日本は一つの夢の終わりを迎えていると思う。そこに必要なのは新しい夢なのではないか。その一つの形がこの福島第一原発観光地化計画なんだと思う。
今こそ福島の未来を語りたい。本当に多くの人に読んでもらいたい一冊。

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