追悼 野中広務 一番好きだった政治家

 野中広務さんが亡くなった。92歳。
 90年代の自民党の中心に君臨し、自社さ政権などをつくった立役者。目的の為には手段を選ばないダーティなフィクサーのイメージ。政界という魔界の魔物のような禍々しさも持った人物だ。
 一方で、野中広務は被差別部落出身で、弱者の心を知る人という陽のイメージも持っている。戦争時には神風特攻隊を見送る任務に就いていて、平和を絶対守るという決意を持った強いハト派でもある。神風特攻隊の若者が出撃する直前に「僕はまだ女を知らないんです」と言った言葉がずっと耳を離れなかったという。重度障害者施設の運営者の顔も持っている。
 部落出身者だと知って手のひらを返された経験が野中を冷徹な男に変えたのかもしれない。しかし、一方で野中は徹底的な平和主義者であり社会的弱者の味方のスタンスを強く持ち、これも生い立ち故なのだ。
 ダーティでありヒューマニストでもある。正反対の特性の間で揺らめく野中広務という人間が好きだった。

 戦争と弱い立場を体験しているから、保守でダーティな政治家でありながらハト派で暖かい反面もあった野中広務。
 現総理大臣の安倍晋三はこの対極だ。戦後生まれで戦争を知らず、3世政治家で確かな地盤を持っている。
 野中広務から現在の安倍政権はどう見えていたか、想像に難くないだろう。

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